御詠歌 廻り来て 願いをかけし 大棚の 誓いも深き 谷川の水
札所一番からの巡礼道をたどり高篠山を登る。
万延元年(1860年)の焼失前は、諸堂のある大伽藍であったという。
現在の観音堂は、明治41年(1908年)に再建されたもの。
老婆が観音様におすがりし、大棚禅師が開基したと伝えられる。
早春は、参道の紅白の梅と花桃が咲き、桃源郷のような景色になる。
なお、御朱印は札所二番から山を下ったところにある光明寺でいただける。

山の上のお堂
室町時代の作とされている本尊は、鬼丸の洞窟に祀られ、霊験のある観音さまであった。
長享(ちょうきょう:1487~1489)の頃に水害を受けて三十三ヶ所からはずされていたが、信者からの復活要望が強く、間もなく三十四ヶ所の札所になり、現在「古堂」と呼ぱれるところに奉祀されていた。
江戸初期に現在地に移って相当な規模を構えていた大棚観音真福寺は、万延元年(1860年)の火災により焼失したが、ご本尊は無事救い出され、脇侍は僅かな火傷をうけただけであった。