御詠歌  あらましを 思い定めし 林寺 かねききあへづ ゆめぞさめける

やや市街地を外れた、野寺の趣の深い寺。
別称を「林寺」といい、林家の持寺として開創された。
観音堂は吹放しの回廊をとりまわし、正面の欄間の左右の花鳥図透かし彫りが美しい。
本堂手前にある鐘楼の梵鐘には西国、坂東、秩父百観音のご本尊が浮き彫りにされ、
各寺院の御詠歌が刻まれている。
当初の梵鐘は江戸初期の火災で本堂とともに消失したといわれ、
現存の物は宝暦8年(1758年)に再鋳されたものである。
『長享の秩父札所番付』(後述)には、札所一番と記されている。

『長享の秩父札所番付』(県指定文化財)の札所一番

札所三十二番法性寺の寺宝で「長享二年(1488年・室町時代)秩父札所番付」には、
当時は定林寺が札所一番であったこと、また秩父札所は三十三ヶ寺であったことが記されている。
創建時は秩父大宮妙見宮(秩父神社)の近くにあったため、
妙見宮をお参りしてから札所めぐりをはじめた、といわれている。
江戸時代後期に現在の場所に移された。

百観音の梵鐘

西国、坂東、秩父の百観音のご本尊を浮き彫りにした梵鐘は、埼玉県指定有形文化財に指定されている。
鐘の音のすばらしさから、秩父三名鐘の一つといわれている。
また、お参り前につくとお金が入ってくる「入りかね」とも呼ばれている。